調査結果:黒(成功)
調査キーワード
① 広い駐車場
② マッチングアプリ
③ スマートフォン
依頼者とターゲット
◆ 依頼者は30後半から40代前半の男性。
◆ ターゲットは依頼者の妻(以下、妻(対象者)と記す。)
序章
11月上旬。
とある男性(依頼者)が妻の浮気で事務所に訪れる。
上司と依頼者の打ち合わせ資料が私のもとに降りてくる。
内容は、妻(対象者)が浮気をしている可能性がある。
主な理由として、妻(対象者)がアフターピルを購入している。
また、妻(対象者)のスマフォにマッチングアプリがダウンロードされていた。
その他、妻(対象者)本人に関してと普段の行動パターンが記載されていた。
妻(対象者)がいつ?どのタイミングで浮気・不貞を行うのかは予想がつかないとのことだった。
目的は①妻(対象者)の浮気の証拠と②浮気相手の身元である。
依頼者の要望に伴い、妻(対象者)が使用する車にGPS取り付け作業に入り予備調査に移行した。
予備調査編
予備調査は2日間に分けて行われた。
1日目は妻(対象者)の自宅・勤務先・使用する車・普段立ち寄る場所などを確認する。
依頼者と妻(対象者)が住む自宅は、市内より少し外れた田舎っぽいところにあったが、付近には新築の家々が建ち並び、これから住宅街になっていく雰囲気を感じた。
妻(対象者)の職業は学童保育の先生。
勤務先の近くには妻(対象者)の実家があり、出勤時は実家に車を停め、歩いて勤務先に向かう。
実家を確認時、妻(対象者)の車が停まっており、資料に記載された情報に異なる部分はない。
翌日の予備調査2回目。
妻(対象者)本人の確認を行うため、子どもの幼稚園の行事に妻(対象者)が参観するとの情報があり、そこで面取りを行おうと考えた。
妻(対象者)が幼稚園に向かってくるタイミングを見計らい、私は幼稚園付近で待機する。
我が子の晴れ姿を見ようと、保護者達がぞろぞろと幼稚園に向かう。
どの家族も母親が大半を占めていた。
私は、その人通りの中、ターゲットを待つ。
男一人幼稚園の付近で、建物にも入る様子もなくただ立っている。
『明らかにあやしい男に見えただろう。』
このような緊迫した状況時に限って、なかなかターゲットが現れない。
と言うことは探偵さんのあるあるな話。
など考えているうちに妻(対象者)が幼稚園に向かうところを捕捉する。
相変わらず、コロナウィルス期間中。
マスク着用はもはや義務化している状況と言うこともあり、妻(対象者)の顔はほぼマスクで占めている。
唯一特徴的な部分とするならば黒縁のメガネだけ。
もちろん面取りの確認事項は顔だけではない。
髪型・体型・持ち物・癖など容姿全体を確認することにある。
顔と体全体と2パターンに分けて、カメラで撮影し、面取りを終了した。
調査編(1回目)
予備調査を終えて、4日が経過した週末。
上司から連絡が入る。妻(対象者)の車がショッピングモールの屋上駐車場に長時間停まっている。
上司と依頼者の打ち合わせ結果では、妻(対象者)は友人と出掛けてくるとしか聞いていないとのことだった。
男と接触した可能性が高いと判断し、休日だった私は現場確認に向かう。
現場に到着し、妻(対象者)の車を確認する。
ショッピングモールの屋上駐車場の南東角に停まっている。
明らかにショッピングモールに買い物目的できたわけではないっと誰が見てもよくわかる状況であった。
場所や停め方でも、浮気してますとアピールしているかのように。
妻(対象者)を乗せた車が戻って来るまで私は待機した。
1時間が経過したが妻(対象者)を乗せた車は現れない。
『長い戦いになるかな~』
と思いながらショッピングモールの屋上駐車場から見える街並みをボーっと眺めていると、違和感に気づく。
町中から黒煙が上がっている。
そして段々と近づいてくるサイレンの音。
『あっ!火事だ・・・』
モクモクと上がっていく煙を眺め、張り込みで緊迫した気分を少し和らぎながら張り込みは継続する。
更に1時間が経過したころ。
背景に映る煙は消え、無事に鎮火した様子であった。
良かったと思う反面。
こちらの現場は動きがなく、早く来いと怒りの炎が私の中で上がっていた。
それから2時間が経過し、周りは暗くなっていた。
そして妻(対象者)の車の隣に、1台のミニバンが停まる。
明らかに妻(対象者)を乗せている車と本人が降りてくる前に確信した。
なぜなら約4時間張り込んでいたが、そこに停まる車など1台もいなかったからだ。
到着して別れるものだと思っていた私だったが、2人の行動に更に気分が萎える。
運転席から男性が降り、同時に妻(対象者)がミニバンの助手席から現れ、2人はミニバンの後部座席に移動する。
何をしているかは定かではないが、張り込み時間が延長することは間違いなかった。
40分の延長の末。
ミニバンの後部座席から妻(対象者)と男性(以下、男性A(二対)と記す。)が降りてくる。
妻(対象者)は自家用車に乗り、ショッピングモールから移動して行く。それを見送り手を振る男性A(二対)。
男性A(二対)はそのままタバコを取り出し、車付近でタバコを喫煙する。
付近はすっかり真っ暗になっていたが、カメラの暗視モードどタバコの灯す火の光が、男性A(二対)の顔を照らし大まかに把握できる。
男性A(二対)の歳は30代後半から40代前半。メガネをかけた瘦せ型の男性だ。
喫煙を終えた男性A(二対)は車に乗り、ショッピングモールから移動して行く。
私は男性A(二対)の身元調査に切り替え、男性A(二対)の車を尾行する。
目的は男性A(二対)の自宅を判明させる事。
付近に住んでいるものと推測し、どこに行くのかワクワクしながら尾行を継続したが、気づけば1時間30分と県南部まで尾行していた。
まだ尾行が続くのか?もうすぐ自宅に到着するのか?
などいろいろと考えている中、私は信号機に捕まる。
男性A(二対)の車は、先に進んでいく。
私は距離を少し離せることと、夜で車通りが少なくなりすぐに追いつけるであろうと考えて、信号機に捕まることはさほど問題視していなかったが、その考えは間違いだった。
信号が変わり、目視できるまで急ぎ車を走らせたが、進行方向に男性A(二対)の車の姿はない。
通っていた道は国道で道なりに進めば、間違いなく視認できたはずだが、視認できない事と目を離した時間を計算すると、失尾した場所に自宅があると判断した。
しかし付近の住宅には男性A(二対)の車は確認できなかった。
自宅を判明には至らなかったが、浮気相手の存在と相手の車が判明したことは大きな一歩であることに間違いないと開き直り、この日の調査は終了した。
『浮気・不貞の話(妻の場合)パート2』続く。