盗聴における裁判では、電波法・電気通信事業法・住居侵入罪などで裁かれることがほとんどです。
★ 無線式盗聴器のほとんどは違法?
日本で年間に十数万個も販売されている盗聴器は厳密にはそのほとんどが使用すると電波法の第4条に違反します。例外となる同条の一項に『発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの』とは電波の周波数が76~90MHzのFMワイヤレスマイク帯域の物で、それ以外の盗聴器のほとんどが使用すると違反になります。
電波法第四条:無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。
★ 電話や盗聴器の電波を受信すると違法?
厳密にいうと、一般の人が市販の広帯域受信機で電話の内容を聞くと、電気通信事業法第4条の『通信事業者の取扱中に係る通信秘密』に違反になります。しかしここは専門家の間でも意見が分かれ微妙なところ。仮に違反となってもその傍受の立証が極めて難しいのです。コードレスや他人が設置した盗聴器の電波を受信(傍受)することは違法ではありませんが、その内容を他人に漏らしたり、レコーダー等に録音し販売等をした場合は『通信の秘密を侵した者』『無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者』となり違法となります。
★ 自分の会社に盗聴器を仕掛けると住居侵入?
興信所からお金で依頼され、自分の会社に盗聴器を仕掛けた場合、不法侵入にはならないと考えている人が多いと思いますが、その行為は会社の職務に関係ないので住居不法侵入罪(刑法130条)が成立します。
★ 電話盗聴は罪が重罪になる?
電話盗聴はあらゆる罪が加算され、重罪になりやすいです。
盗聴器設置の為の行動を想定した場合、電信柱は電力会社及びNTTの所有物なので一切登れません。そして家屋外壁の電話保安器への取り付けは、ほんの僅かでも敷地内に入るので住居不法侵入罪になります。また設置が成功すれば電波法・電気通信事業法・有線電気通信法違反になります。
もし夫婦間や親子間で電話盗聴器を部屋の中に仕掛けた場合は、取り付け場所や盗聴器の種類により工事担当者無資格違反、電波法の違反となります。
盗聴行為に適用される法律
🔳 電波法
第4条(無線局開設)
無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし次の各号に揚げる無線局については、この限りではない。
1 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの。
第59条(秘密の保護)
何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第4条第1項又は第90条第2項の通信たるものを除く。第109条においても同じ)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、またこれを窃用してはならない。
第109条
無線局の取り扱い中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
🔳 電気通信事業法
第4条(秘密の保護)
電気通信事業者の取り扱い中に係る通信の秘密は侵してはならない。
🔳 プライバシー侵害に適用される罰則
有線電気通信法14条『通信の秘密を犯す罪』
有線電気通信の秘密を犯した者は、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処する。
有線電気通信の業務に従事するものが秘密を犯した場合は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法
刑法130条『住居不法侵入』
理由なく、他人の住居又は人が看守する邸宅、建物に侵入し、又は要求を受けてもその場所から退去しない者は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
軽犯罪法1条23項『切歯罪』
正当な理由なく、他人の住居、浴室、更衣室、便所、その他、人が通常衣服をつけないでいるような場所を密かに覗き見たものは拘留又は軽い刑事罰に処する。
刑法133条、郵便法77条・80条『信書開封罪』
理由なく封をした手紙を開けた者は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
刑法134条『秘密漏洩罪』
医者、薬剤師、産婆、公証人、弁護士又はこれらの職にある者は理由なく職業上知った他人の秘密を漏らした時は、6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法262条『器物損壊罪』
他人の物を打壊し、又は侵害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは軽い刑事罰に処する。