はじめに

探偵、調査業を行う場合、法律の基本原則とその適用について最小限の知識を有することは不可欠です。

ここでは探偵、調査業に関連の深い刑法と民法についてお話していきます。特にその中でも婚姻、離婚、相続といった家族に関する法律の基礎知識を履修することにします。

今回は刑法についてお話します。

法律とは?

法律とは、最も簡単に言うと国家社会を円滑に動かすためのマニュアルだと考えておいてください。国に税金を徴収すのは税法によってであり、結婚、離婚は民法の規定に従って成立、殺人事件を起こせば刑法によって処罰されます。それぞれのケースによって問題解決のための方法を示しているのが法律です。

法律の種類

法律には基本六法として、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法があります。

憲法・・・国家と国民の権利義務についての規定。

民法・・・個人間の権利義務の規定。

商法・・・商取引上の権利義務の規定。

刑法・・・罪と罰に関する規定。

民事訴訟法・・・個人間の権利義務について紛争が起きたときの裁判手続きの規定。

刑法訴訟法・・・刑罰を科す裁判手続きの規定。

刑法

刑法とは、犯罪と刑罰に関する事柄を定めた法律です。犯罪とは刑罰法規、すなわち刑法に違反する行為を言い、刑罰とは犯罪に対する処罰のことを言います。

★ 犯罪

犯罪とは刑法に違反する行為であり、殺人行為、強盗行為、暴行行為等がこれらに該当します。

① 犯罪は刑法の各条文(殺人罪、強盗罪等)に該当する行為であること。これを構成要件該当性といいます。

② 違法な行為であること。別な言葉で言うと、正当防衛、緊急避難などの違法性阻却事由のないこと。これを違法性と言います。

③ 行為者に責任能力があること。すなわち、心神喪失、刑事未成年などの責任阻却事由のないこと。これを有責性と言います。

以上を総合して考察すると

犯罪とは『構成要件該当の違法かつ有責な行為』と定義できます。

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★ 刑罰

刑罰とは、犯罪に対して科せられる処罰を言います。これは国家の犯罪者に対する懲罰を意味します。

刑罰の種類として刑法が定めているものとして、以下のものがあります。

死刑・・・絞首シテ之ヲ執行ス(11条)との規定があり、さらに監獄法 第72条で絞首後5分経過しなければ縄を解いてはいけないとされている。

懲役・・・刑事施設に拘置して、定役(刑務作業)が科せられます。期間は無期及び有期があり、有期は1カ月以上20年以下。ただし併合罪などにより計を加重する場合は最長30年以下にすることができます。

禁錮・・・定役(刑務作業)が科せられない点を除いて懲役と同じ。

拘置・・・1日以上30日未満、拘置場に拘置する。

罰金・・・財産刑の一種であり、行為者から強制的に金銭を取り立てる刑罰。1万円以上。

科料・・・財産刑の一種であり、行為者から強制的に金銭を取り立てる刑罰。千円以上1万円未満。

* 労役場留置(18条)・・・罰金、科料を完納できない者は監獄に付設している労役場に留置されます。罰金の場合1日以上2年以下。科料の場合1日以上30日以下。

没収・・・物の所有権を奪って国庫に帰属される処分。殺人に使用した拳銃、賄賂として渡された物等。没収の目的が犯人以外の物に所属していないときに限ります。但し、犯行後、犯人以外の者が事情を知って譲渡を受けたものに関しては、没収できます。

追徴・・・没収できない場合にそれと同じ額の金銭を国庫に納めさせる処分。

投稿者 りょうカン