前回の記事:探偵と法律①

民法

民法とは、個人間の権利関係を定める法律です。

例として、金銭の貸し借り、土地家屋の売買、賃借、交通事故その他の不法行為に対する損害賠償、婚姻、相続等が民法によって規定されています。

探偵・調査業では、家族、家族生活に関する事項を調査対象とする場合が多いので、家族に関する法律、即ち、親族・相続法の基礎知識が必携であると考えられます。

以下、親族法においては主に婚姻と離婚を、相続法については相続人、相続の形態、遺言に関しての基本的な説明を行います。

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★親族法

① 婚姻

婚約の形態、意義については、時代や社会習慣によっていろいろと変化、変遷がみられました。原始時代の雑婚、郡婚を経て、一夫多妻または一妻多夫となり、現在の一夫一妻制度になったとされています。

現代における婚姻は、家族団体又は宗教によってではなく、法律の規定によって成立し、その保護を受ける生活形態となっており、法律は婚姻に関して一定の条件、義務を定めています。

(Ⅰ)婚姻の成立

婚姻とは、基本的には男女が終生の共同生活を約束する契約であり、憲法第24条で規定されているように、両性の合意によってのみ成立するものなのです。

婚姻の成立要件として、法は以下の事項を規定しています。

a 両当事者の婚姻意思(結婚しようという意思)の合致があること。

民法の条文には規定されていませんが、婚姻が契約である以上は当然のこととされています。この婚姻意思の合致は婚姻届の提出時に存在することが必要です。

b 男は18歳以上、女は16歳以上であること(731条)

c 重婚でないこと、即ち、現在結婚していないこと(732条)

d 再婚禁止期間(女性に関して前婚の解消又は取り消しの日から6ヶ月)を経過していること(733条)。これは父親が誰かを確定させるためです。

e 近親者でないこと、即ち、直径血族(親子・孫)及び三親等内の傍系血族(兄弟姉妹、おじ、めい)間でないこと。ただし、養子と養方の傍系血族との間ではこの限りではない(734条)

f 婚姻の届出があること

戸籍係は婚姻届に関して形式的審査権(形式が整っているかどうかの審査権)しかないので、本人の知らない間に形式が整っている婚姻届が提出されると、正式な届出として受理されてしまい、その訂正には裁判所の判決が必要となり(戸籍法116条)、訂正されるまでは、新しい婚姻届は受理されず、真の届出ができないことになります。

(Ⅱ)婚姻の効力

婚姻が成立すると夫婦は以下の義務、効力が発生します。

a 夫婦同一氏(750条) 

夫婦は夫、又は妻の氏を名乗る必要があり第三者の氏を名乗ってはいけません。

b 同居、協力、扶助の義務(752条)

夫婦は一緒に住み、お互いに協力し、助け合わねばならないのです。相手をほったらかしにしたり、生活費を全然渡さなかったりしてはいけません。

c 成年擬制(753条)

未成年者が結婚すると民法上は成人として扱われ、完全な法律行為(契約等)ができるようになり、未成年者に許されている取消権がなくなります。また、親権にも服す必要がなくなります。ただし、この青年擬制は民法上だけなので、酒、たばこの許容は現実に20歳になることが必要です。

d 夫婦間の契約取消権(754条)

夫婦間での婚姻期間中はいつでも、何の理由もなく契約を取り消すことができます。力の強い側からの不当な圧力によって結ばれた契約は取り消してよいのです。弱者たる妻を守る意図で作られた条文ではあるが、強者たる夫からなされた贈与が自由に取り消せる結果にもなり、夫の横暴を助長する危険もあります。

e 貞操義務

法律には規定されていませんが、不貞行為が離婚理由(770条)となる点からも、その存在は明らかである。

投稿者 りょうカン