結婚調査と雇用調査の依頼を受ける際、その調査目的が社会的差別の原因になる場合は、絶対に依頼を受けてはなりません。
また、調査中に社会的差別につながる、あるいは社会的差別に利用される恐れが判明した場合は、直ちに調査を中止しなければなりません。
★ 同和問題(部落問題)とは
同和問題は、生まれた場所(被差別部落)や、そこの出身というだけで差別される著しく不合理な差別の問題をいいます。
① 『区別』と『差別』
私たちは、区別と差別の違いを考えずに何でも差別だと決めつけてしまいがちですが、『区別』と『差別』は同じ意味でしょうか?
『区別』とは
十人十色と言われるように私たちはそれぞれ違った個性や能力を持っています。
区別とは『男と女』『黒人と白人』『日本人と朝鮮人』といったように違いを表しただけの事で、地域生活においても、それぞれに違った特色が備わっている状態をいいます。
そこには、不当性不利益性を被る関係がない状態を表します。従って、就職応募者に採用試験を実施した際、会社が必要とする職種について能力や適性、試験の成績を総合して、上位から採用していくことは『区別』になります。
『差別』とは
『本人の努力によってどうすることもできない事柄で不利益な扱いをすること』をいいます。
『出身地』『職業』『学歴』『差別』『家柄』『民族』などによって、上下の値打ちをつけ、その人の団体の自由や権利を無視、侵害するなど不当性、不利益性を被る関係が生じることをいいます。
② 差別発生のメカニズム
差別が起きるのは、人々の心の内にある予断と偏見に起因するといわれています。
◆ 『予断』とは
前もって判断する事で、あることに対して、事実を確かめないで自分の持つ過去の経験、知識、記憶などの範囲で判断する事です。自分のイメージにあう場合はその事実を好意的に受け入れますが、合わない場合には否定してしまいます。
◆ 『偏見』とは
ある種の集団や対象に対して、何ら合理的な根拠なくして、人々が示すステレオタイプ化した非友好的な態度や考え方をいいます。
ある集団に属している人を一人一人の個性や特性で見るのではなく、集団をまるごと否定的に見てしまうことです。例えば『ユダヤ人はお金にきたない』『黒人は怠け者』『同和地区出身者はこわい』など根拠に基づかない考え方などがあげられます。
誤った予断や偏見の度合いが強くなると、差別意識となり、これが行為として現れた場合が差別となります。また世間体意識や旧来からの因習や迷信によって差別意識を持つ場合もあります。
[…] 依頼を受けてはならない結婚差別調査と就職差別調査 […]