探偵事務所と同和問題はどのような関係があるのでしょうか?

・ 就職活動の際、同和地区出身者というだけで不採用となる。

・ 結婚の際に同和地区出身者というだけで婚約を破棄される。

一昔前の探偵事務所では、上記の具体的で示したように企業からの依頼により、就職活動で面接に来た人物が同和地区出身者が調べたり、結婚の際に親御さんからの依頼を受けて、嫁いでくる婿(嫁)が同和地区出身者ではないのか、先祖にそういった人物がいなかったのかを調査していたのです。

1975年(昭和50年)以降、同和地区の名称や所在地、戸数、主な職業などを記載した書籍『部落地名総監』が売買され、結婚などの身元調査用に興信所で使用されたり、就職者の身元調査用に企業などが購入したりする事件が発覚し、大きな社会問題になりました。また、全国の同和地区が網羅されている地図の作成も探偵事務所が大きく関与していたと言われています。

探偵業界が直接、差別を行うことは無かったにしろ、差別を助長する行為に大きく関与していたのです。

◆ 結婚差別

部落出身者と結婚すると血縁関係が生じるため『自分の家系(息子、娘)の血が穢れる』からと反対する家族(親戚なども)が多くいました。内密に身元調査や聞き合わせを行い、部落出身者と分かると結婚を許さない例や、好きな人と一緒になる事に大変大きな妨げがありました。そのため部落民は部落民同士で結婚する事や、仮に部落外の人と結婚できたとしても、それは親族の祝福がない駆け落ちであったりすることが多かったのです。また、結婚差別に遭い、自ら命を絶つ者も多くいました。今でも、その傾向は少なからずあり、露骨に反対する場合とそれ以外の理由に託けて反対する場合の両方がありました。

◆ 就職差別

1975年11月に部落地名総監事件が発覚し、被差別部落とされる地域を記した本が興信所などにより作成され購入者の人事部に配備されており、それを基にしてその地域に住んでいるものを意図的に不採用にするなどの例がありました。

◆ 探偵業界の自主規制と探偵業法

1975年(昭和50年)の事件を契機にして、結婚差別や就職差別等の部落差別につながる調査行為を無くそうという声が高まり、大阪府では1985年(昭和60年)に『大阪府部落差別事象に係る調査等の規則等に関する条例』を定め、興信所・探偵社の差別調査に対して法的規則を行う事となりました。

・ 親族の現在または過去の居住地が、同和地区にあるかないかについて調査し、または報告しない事。

・ 同和地区所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示をしない事。

探偵業界は、これらの問題が規制されているから部落調査を行わいのではなく、人間としてあってはならない事だと気付き、認識しているからこそ、部落差別根絶のため、啓蒙活動や自主規制を行っています。

また、探偵業について必要な規制を定め、その業務の適正を図る事により、個人の権利利益の保護に資することを目的に『探偵業の業務の適正化に関する法律』が制定され、2007年(平成19年)6月1日に施行されました。

同法律では、

・ 人の生活の平穏を害する、個人の権利利益を侵害する事がないようにしなければならない。

・ 探偵業者は、調査結果が犯罪行為、違法な差別的扱いその他の違法な行為のために用いられる事を知った時は、当該探偵業務を行ってはならない。

などの規定が定められており、この法律に違反した場合は、指示や命令などの行政処分や罰金などの罰則が適用されるようになりました。

社会的差別の原因になる場合は、絶対に依頼を受けてはなりません。

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投稿者 りょうカン

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