浮気・不貞の話⑲（夫の浮気）パート２

前回までのあらすじ

夫の浮気調査を依頼してきた女性。

夫が避妊具（コンドーム）とEDの薬を隠し持っていたことから浮気を疑っている。

調査は契約となり、私はいつものように淡々と調査をこなしていく中、夫が３０代ぐらいの女性と接触しているところを確認した。

調査の過程で女性は夫がよく来店するキャバクラのキャストであることがわかった。

女性との接触を確認したことにより、不貞を行うのも時間の問題かと思われたが、なかなか不貞につながる行動はない。

約１ヶ月後（３月）

時期は３月。

時折、現場に入る（調査）も夫（対象者）と水商売の女性がラブホテルに行くことは無い。

浮気している可能性が限りなく低いと私も含め、周りもそう思い始めたころ。

ちょっと変わった調査を依頼される。

それはファミリーレストランで夫（対象者）と水商売の女性が食事をする。

その時に２人がどのような会話をしているか？聞き取り調査してほしいと。

２人が不貞関係に陥ることは無いと依頼者も認知してはいるものの、２人の関係やどういった会話をしているのか？気にはなるようだ。

ファミリーレストランの場所は依頼者の方でそれとなく夫（対象者）に聞き、特定した。

ファミリーレストラン（聞き取り調査）編

私はファミリーレストランの駐車場で待ち受け態勢に入る。

今回は上司が私のパートナーを務める。

現場から退いた上司が、どこまで動けるのか毎回お手並み拝見させてもらっているが、今回はそんなことはどうでもよかった。

調査中、レストラン内での飲食は経費で落とせる。

もはや私は何を食べようかと、調査そっちのけで待機していた。

いろいろ考えているうちに、先に水商売の女性が先に到着した。

水商売の女性は駐車場に車を停め、ひとりで店内に入店していく。

夫（対象者）とは店内で待ち合わせる様子だ。

５分後、夫（対象者）の車もファミリーレストランに現れる。

夫（対象者）もひとりで店内に向かう。

店に入るまでに特別変わった様子はない。

２人が店内に入ったことを確認し、私と上司も店内に入店する。

ここから第一の難所。

２人が座っている席の近くを確保できるかがポイント。

もはや運ゲーである。

意外と第一の難所は難なくクリアできた。

むしろベスポジと言っても過言ではないくらい良い席を確保できた。

何も知らずその席に案内してくれた従業員さんに勝手に感謝する私。

夫（対象者）と水商売の女性の他に４０代くらいの女性も同席しており、３人で食事をしている様子である。

それはさて置き、私はファミリーレストランのメニューを眺める。

上司から何食べてもいいとお墨付きをいただいたので、じっくり考える。

腹も空いていた私は定食を頼み、料理が出来上がるまで調査に集中する。

古いタイプではあるが、ガンマイクをつけたレコーダーを夫（対象者）の方に向けいて録音する。

３人で話している内容は他愛もない世間話がほとんどだ。

しばらく聞いていると、少しだけ調査に関わりそうな話題が聞こえてくる。

水商売の女性に関してだ。

どうやら水商売の女性には夫がおり、夫とは別居中で離婚調停しているそうだ。

それに伴い弁護士や慰謝料の話など、３人で話している様子だ。

どうやら水商売の女性の家庭内事情も大変な様子だ。

一番の被害者は子供だと私は思うのだが。

そう思ったタイミングで頼んだ食事が届き、もはやそっちの事情などどうでもいいと切り捨て、私は食事を堪能する。

食事を終えた私はしばらく３人の会話を聞き取りしていたが、他愛もない話が続く。

上司との打ち合わせの結果、先に私は店を出て駐車場で待機した。

食後で眠気が襲ってきそうだったが最後まで気を抜かないように最善の努力をした。

私が店を出て３０分が経過したころ。

店内で聞き取りを継続している上司から連絡が入る。

ぼちぼち会計を済ませ３人が店を出るとのこと。

私はカメラを構えた。

そして現れる３人。

４０代女性の手には、お持ち帰りした料理を持っている。

家族の夕飯にと購入したものだと気にもしなかったが、その料理は水商売の女性の車の後部トランクに積まれる。

『お前が買ったものじゃないんかい！？』

私はどうでもいいことに、どうでもよいツッコミをカメラ越しに言う。

恐らく水商売の女性の子供たちのために、買ったもので子供たちも大いに喜んだであろう。

ちなみに夫（対象者）は夫の家族が経営するお店の専務。

お金には余裕があり、夫（対象者）が買ってあげたんだろうなと勝手な先入観を働かせる。

探偵にとって先入観は良くないものだが、現状では問題なくどうでも良いことだ。

その後、３人は各自の車に乗り込みファミリーレストランを後にした。

私と上司も合流し、調査終了し現地解散した。

調査ポイント

今回は女性との接触及び女性の身元に関する一部は、依頼者の予想通りではあったが、不貞関係ではないという結果に終わった。

その後、夫は不貞していなかったものの、依頼者の気持ちは晴れず、夫とは別居する予定だと上司から私の耳に入る。

どんな事情にしろ２人の関係が和解していることを祈るばかりです。