前回までのあらすじ
夫の浮気調査を依頼してきたが40代後半の外国人女性とその娘。
調査は契約となり、予備調査を終え,さっそく本調査に入った私。
夫の退社後から尾行した結果、夫はまっすぐとあるビジネスホテルの駐車場に停まり、明確に女性と接触する事実は認められず、翌日の朝調査を再開したところ、女性共にビジネスホテルから現れた。
夫と女性の車は、ビジネスホテル近くのショッピングモールの屋上駐車場に移動し、女性の車に荷物を積み込み、女性の車を夫が運転する形で移動して行った。
調査編(2回目)
夫(対象者)が運転する女性Aの車は、東の方に移動しコンビニに停まる。
2人は店内に入店し、暫く買い物をする。
現在地から隣のM県には、下道(国道)でよく利用されるルートもあり、コンビニで買い物をしているということは下道で隣のM県に移動する可能性は大いに考えられた。
店内から現れた2人。
変わらず運転席には夫(対象者)が乗り、車の所有者である女性Aは助手席に乗り込む。
コンビニから走り出す夫(対象者)が運転する女性Aの車。
車内の2人の様子は談笑し楽し気なムード。
こういった状態では2人の楽しい時間が勝り、尾行されていると頭をよぎることはほとんどないだろう。
そもそも尾行されていると普段の生活で考えるであろうか?
普通の人では考えないだろう。
予想は的中し、下道(国道)を通り、M県に向かう女性Aの車。
冬の雪道と言うこともあり、約1時間30分ほどかかる道のり。
私は程よい距離で尾行を継続した。
しばらく尾行していたがようやくひと段落がつく。
夫(対象者)が運転する女性Aの車はホームセンターの駐車場に停まる。
2人とも車から降りる様子はなく、車内に留まっている。
恐らく誰かを待っているのである?
私はしばらく様子を見ている。
10分が経過したころ。
シルバー色のセダン車が女性Aの車の横に停まる。
運転手は夫(対象者)と女性Aよりはるかに若い20代くらいの男性だった。
車には初心者マークもついている。
若い男性が女性Aの車に近づくと同時に夫(対象者)と女性Aが車から降りる。
軽く挨拶を交わし、夫(対象者)は女性Aの車の後部トランクに積んだ車のパーツ(サスペンション)を若い男性の車に移し替える。
確かに若い男性と夫(対象者)の乗る車の車種は同じもの。
同じ車の愛好会みたいな会に参加している夫(対象者)。
恐らく若い男性もその会員の一員なのかもしれない。
パーツ(サスペンション)は使わなくなったため、譲っているのであろう。
女性Aは先に助手席に戻り、男二人で暫く立ち話を行う。
探偵としてなんともつまらん光景だ。さっそと話を終えて次に行ってほしいと思う私。
その願いが届いたのか、お互いに挨拶を交わし、夫(対象者)は女性Aの車の運転席に戻り、互いの車がホームセンターから移動する。
やっと動いた。なまる体を叩きを越し尾行を再開する。
と言ってもホームセンターでの出来事は約30分程度の話。
やっとと言うほどでもない。
実際、スタートしてからわかっていた。
調査の目的は女性Aの身元がメイン。
体の関係があると考えても、セックスは昨日宿泊したビジネスホテルでとっくに済ませているであろう。
女性Aの見た目からあまり想像したくないと素直に思う私だが。
デート途中でラブホに行って性行為は考えられない。
つまり、この調査は2人が別れてからがメインとなる。
いつこのデートが終わるのか・・・
それまではグダグダの調査になることはおおかた予想は付いた。
そのため、たかが30分でも長く感じてしまう状態になっている。
どうしようもないことなのだが、変わらず尾行を継続した。
夫(対象者)が運転する女性Aの車は観光地のお土産屋の駐車場に停まる。
休日ともあり駐車場はほぼ満車だ。
車を停めるにも一苦労。
仕事とはいえ何もかもが面倒くさいと思っていた心中。
上司から気の利いた提案が電話で通ってくる。
ひとりはそのまま夫(対象者)と女性Aの尾行。
もうひとりは夫(対象者)の車が停まるショッピングモールの屋上駐車場で待機し、別れた後、女性Aの車を尾行する係に。
私の他にヘルプ要員で入っていた調査員(探偵)の2名で行っていた調査。
私はもちろんこの退屈から解放されたい一心で、もっともらしい言い分を並べ、夫(対象者)の車が停まるショッピングモールの屋上駐車場で待機する係を勝ち取った。
時刻は正午。
まだまだデートが続くことが目に見えているが、ヘルプ要員の調査員(探偵)にお任せし、私は現場を移動した。
その後、夫(対象者)と女性Aはショッピングモールで買い物したり、ゲームセンターなどのアミューズメント施設に立ち寄ったりと普通のデートコースを辿り、私がスタンバイするショッピングモールに向かい始めたのは午後3時30分くらいの事だった。
午後4時50分。
私がスタンバイするショッピングモールの屋上駐車場に女性Aの車が到着する。
到着して間もなく、助手席から女性Aが降り、店内に向かった。
恐らくトイレだろう。
その間、夫(対象者)は女性Aの車の中で上着を着替えている。
女性Aが店内から戻って来たタイミングで、夫(対象者)が運転席から降り、自家用車の車のエンジンをかけ、アイドリングをする。
帰るころまでに車内を温めておく。東北の冬もかなり寒い。
ガソリンの高騰がどうのこうのと騒がれる今だが、寒さには勝てない。
今度は女性Aの車の助手席に夫(対象者)が乗り、運転席に女性Aが乗る形となり、しばらく車内で談笑する。
当たり前のように私は早く帰れ!と心の中で叫ぶ。
そしてこの日私は一番見たくない光景を見てしまう。
これは探偵としてはありがたいことなのだが、私は見たくなかった。
車内で熱いキスをする二人。
カメラで撮影する私。
複雑な心境だ・・・
その時間は数秒で終わるも、すごく耐えがたい時間だった。
そしてキスが合図だったのか、夫(対象者)が助手席から降り、自家用車に乗り2人が別れる。
ここからが本番。
女性Aの身元調査の1項目。
自宅を判明させるため、女性Aの車を尾行する。
尾行は順調に行われ、ショッピングモールから約20分のところの古い一軒家のカーポートに停まる。
メインとなる部分は1時間もかからず終了したが、しっかりと目的は果たした私。
上司に連絡後、調査は終了した。
調査ポイント
今回の調査のターゲットと浮気相手。
基本的に職場の同僚など接点が多い相手との浮気が多いが、今回の2人は職場も違い、住んでる場所も遠くご近所さんでもない。
後日、依頼者の情報からマッチングアプリで知り合った女性だったと上司から伝えられる。
また、今回の調査内容。
探偵としては浮気の証拠は撮れていないに等しいが、車内や公然などでキスしている写真(証拠)は浮気の証拠として有力な証拠となり得ますが、ここから先は弁護士の話になるので、有効かそうでないかは弁護士次第となります。
その後、2人の関係や末路は現場の探偵とって伝わることのないデブリーフィングだ。
調査期間と料金
調査期間:トータル5日間
現場に出た回数(行動調査):2回
(調査時間(合計):約13時間(行動調査による))
調査員最大人数(1回の調査)2名
調査料金(総額):約25万円
* 調査料金に関して、探偵社及び地域によって大きく変動しますのでご了承ください。